令和の文豪

ブログなんてものを書くのは最早自己顕示欲がどぎついヤクザみたいな輩ばかりなのでしばらく辞めていたのだが、全くもってこのブログとやらは俺の生活に不必要なものだった。ブログを書かなくてもなに一つとして困らなかったし実際今書いているのも単なる暇つぶしであってどうしても書きたいわけでもない。しかしこのブログで俺は多少なりとも文章力が鍛えられたのか、夏季の課題であった読書感想文がコンクールに出品されることになってしまった。俺は文章を長ったらしく書き連ねることは全く苦ではないのだが、それを「テーマ」や「伝えたいもの」を中心にして書くのはそこそこに時間がかかるので普通に苦労して書いた。そもそも提出の前日まで一切の文字を読んでいなかったので既に読んだことのある本を選んだのだが、その本とは三島由紀夫の「命売ります」である。しかしこの本を読んだのは三年前に一度きりで普通に忘れてたし普通に苦労した。かなり適当に書いてしまったので先生からも「若干無理してまとめたね。」などと言われたが結果的には俺の作品が選出されてしまった。もうひとり選ばれた女子は完全に否定しており若干先生も引いているほどだった。

俺の文才にはたびたび驚かされる。小学生の時から既に俺は半分芥川龍之介みたいなもんだったので、創作小説的なものでも先生に激褒められしてそこで自分が芥川龍之介であることに気づいた。中学にあがっても自らの文才に気づかされることばかりだった。中学の時は半分太宰治みたいなもんだったので、毎日提出する日記では先生から絶大な人気を誇り、2ページを全て日記で埋め尽くしそれをむしろ褒められてさえいた。「日記を楽しみにしています」とか言われだし俺はいつからか完全なるエッセイストとなっていた。高校にあがってからも似たような文章を書くスペースで楽しみにされていたらしい。そして今回、読書感想文が選出され、国語の教師から「あなたはエッセイストになりなさい」とまで言われた。国語の教師にまで言われてしまったら、もうなるしかないのだ。前から思っていたのだが、もうエレキギターを歪ませたりライブハウスで大きな声を出したりする音楽は古い。今時、こんなもの流行らないし、音楽なんかやっててもモテない。モテたためしがない。すなわち俺はパンクバンドなんか辞めてエッセイストになると決めたのだった……。

 

追記

適当なことばかり抜かしていたが、パンクバンドはやめていない。読書感想文コンクールの参加賞で図書券1500円分を貰った。頭良さそうな本買ったので満足です。